Web制作で単価の高いクライアントを「言葉」で選ぶ方法
単価の高いクライアントが集まるかどうかは、営業力ではなく、発信する言葉で決まります。人によって響く言葉や抱えている欲求は違うため、どんな言葉で発信するかによって、集まる相手の財布が変わります。安く買い叩く相手が集まるのも、投資してくれる相手が集まるのも、多くはあなたが使っている言葉の結果です。だから、単価を上げたいなら、腕を磨くより先に、集客で使う言葉を見直すのが近道です。
僕自身、以前はこれをまったく意識できていませんでした。同じWeb制作やEC制作を提供していても、集まる相手によって報酬も会話の進み方もまるで違う。その違いが、実は最初に使っていた言葉から生まれていたと気づいてから、集客の設計が変わりました。この記事では、なぜ言葉でクライアントの財布が分かるのか、どんな言葉を使えば単価の高い相手が集まるのか、そして選別をどこでやるべきかを、順に整理します。
なぜ「言葉」でクライアントの財布が分かるのか
人は、自分の欲求に合った言葉に反応するからです。同じ「ECサイトを作りたい」という相手でも、その裏にある欲求はまったく違います。そして、その欲求こそが、相手の財布の大きさを映しています。
わかりやすいのが、マズローの欲求段階のような発想です。人がどの段階の欲求で動いているかによって、響く言葉は変わります。生きるための売上がまだ足りない段階の人と、すでに安定した売上があって、次の成長や効率化を求めている段階の人とでは、同じ商品を見ても、刺さる言葉がまったく違うのです。相手の欲求に刺さる言葉を選べば、その欲求を持つ人だけが集まります。
身近な例で考えると、はっきりします。「痩せたい」という人がいても、その理由は人によって違います。病気だから痩せたい人もいれば、モテたいから痩せたい人もいます。もし後者だけを集めたいなら、「昔の恋人を見返したい」といった訴求を打ちます。すると、同じ「痩せたい」でも、モテたい欲求の人ばかりが集まります。言葉で、欲求の種類ごとにターゲットを狭められるのです。Web制作でも同じで、相手の状態によって刺さる言葉は違います。単価を上げたいなら、高い単価を払える人にはどんな言葉が響くのかを、先に考える必要があります。
ここで大事なのは、あなたが今使っている言葉は、すでにある種の相手を選び、別の相手を遠ざけている、ということです。多くの人は、これを無自覚にやっています。だから、意図せず安い相手ばかりを集めてしまう。言葉は、集客のフィルターとして、常に働いているのです。
「作りたい人」と「自動化したい人」は財布が違う
具体例で見ると、はっきりします。僕が現場で痛感したのも、この違いでした。
「ECサイトを作りたい」という言葉に強く反応する人は、多くの場合、これから売上を作りたい人です。まだ事業がまともに回っておらず、サイトを作ればなんとかなる、という期待で動いています。憧れが先行していることも多く、この層は一概に予算がないとは言えませんが、そもそもビジネスとして成立していないケースが多いため、許容できる単価は下がりやすくなります。売上をこれから作りたい、という欲求の強さは、裏を返せば、今はまだ売上が上がっていない、ということでもあります。
一方で「自動化したい」「自販機のように売れる仕組みを作りたい」という言葉に反応する人は、すでにある程度の集客や売上があります。自分が動き続けて売上を上げるのがしんどいから、ネット化して伸ばしたい、という段階です。すでに事業が回っていてお金があり、投資としての判断ができるため、許容できる単価は高くなります。話も早く、投資思考があります。
同じEC制作でも、前者を集めれば安く買い叩かれ、後者を集めれば話が早い。この差を生むのが、集客で使う言葉です。「作る」を前面に出すか、「伸ばす」「自動化する」を前面に出すかで、集まる層が入れ替わります。
この違いは、取引が一度きりで終わるか、続くかにも表れます。僕自身、ECの現場で実感してきたことです。ただ作りたいだけの人は、集客や販売のことを最初から考えていないので、サイトを納品して終わり、単発で終わりがちです。一方、投資意欲のある人、すでに売上があって伸ばしたい人は、作った先の成果を見ているので、リピートや継続的な依頼につながります。同じ一件でも、単発で終わる相手と、継続して報酬が積み上がる相手とでは、最終的な取引額がまるで違います。だから、どちらの相手を集めるかは、目先の単価以上に、長期の売上を左右します。
どんな言葉を使えば、単価が上がる相手が集まるのか
鍵は、相手の欲求の段階に合わせて言葉を選ぶことです。単価を上げたいなら、「作りたい」に寄せた言葉ではなく、「伸ばしたい」「自動化したい」「仕組みにしたい」という、すでに事業が回っている人の欲求に響く言葉を前面に出します。
たとえば、同じサービスでも、看板にする言葉を変えるだけで、集まる相手が変わります。
- 「ホームページを作ります」ではなく「売上を伸ばす仕組みを作ります」
- 「デザインを一新します」ではなく「問い合わせが増える設計にします」
- 「ECサイトを制作します」ではなく「販売を自動化して、あなたの手を空けます」
前者は作ること自体を目的にする人を、後者は成果を目的にする人を引き寄せます。どちらの言葉を看板にするかで、問い合わせてくる人の財布が変わるのです。作ることではなく、その先の成果を言葉にするだけで、集まる層は上に動きます。
このとき役立つのが、相手の課題の順番を見極める視点です。書籍『Fix This Next』は、自社が次に取り組むべき課題を特定するための本ですが、この考え方はクライアントの見極めにも応用できます。相手が今どの課題の段階にいるのかを読み、その段階に響く言葉を選ぶ。これができると、集客の入り口で、付き合うべき相手を自然に選別できます。
選別は「商談」ではなく「入り口」でやる
ここが、この記事で一番伝えたいところです。選別は、商談の場ではなく、集客の入り口でやります。
間違った相手を集めてしまうと、そのあとどれだけ丁寧に対応しても、そもそも予算がなければ単価は上がりません。安い相手を集めてから値上げを交渉するのは、消耗する戦い方です。僕自身、予算がほとんどないのに相談に来る人を何人も相手にして、これを痛感しました。それは相手の問題ではなく、そういう相手を引き寄せる言葉を、自分が使っていた、という自分の問題でした。
最初から、単価が上がる相手だけが反応する言葉を使い、そうでない相手には響かないようにしておく。集客の言葉が正しく設計されていれば、選別は勝手に進みます。商談に来る時点で、すでに予算のある相手だけが残っている。これが理想の状態です。営業でねじ伏せるのではなく、言葉でクライアントを選ぶ、というのはこういうことです。
よくある失敗:幅広く集めようとする
多くの人がやってしまう失敗が、できるだけ幅広く集めようとすることです。間口を広げれば問い合わせは増えますが、そのぶん、予算のない相手も大量に混ざります。結果として、対応に時間を取られるわりに、単価は上がりません。
集客は、多く集めることが目的ではなく、正しい相手を集めることが目的です。間口を広げるより、むしろ狭めて、単価が上がる相手にだけ響く言葉に絞るほうが、単価は上がります。響かない相手には響かないでいい、と割り切ることが、選別の第一歩です。誰にでも刺さる言葉は、裏を返せば、誰の欲求にも深く刺さらない言葉だからです。
よくある質問
Q. 言葉を変えるだけで、本当に集まるクライアントが変わりますか
変わります。人は自分の欲求に合った言葉に反応するため、看板にする言葉を変えると、反応する層が入れ替わります。「作りたい人」向けの言葉と「伸ばしたい人」向けの言葉では、集まる相手の財布が違います。
Q. 具体的にどんな言葉を使えばいいですか
すでに事業が回っている人の欲求に響く言葉です。「作る」より「伸ばす」「自動化する」「仕組みにする」といった、成果や投資を連想させる言葉が、単価の高い相手を引き寄せます。作ることではなく、その先の成果を言葉にするのがポイントです。
Q. 間口を狭めると、問い合わせが減りませんか
数は減ることがあります。ですが、集客の目的は数ではなく、正しい相手を集めることです。予算のない相手が減り、単価が上がる相手が残るほうが、結果的に売上も労力も改善します。誰にでも刺さる言葉は、誰にも深く刺さりません。
Q. まず何から始めればいいですか
今の発信やサービス紹介で使っている言葉が、どんな欲求の相手に向いているかを点検することです。「作りたい人」に向いているなら、「伸ばしたい人」に響く言葉へ書き換えるところから始めます。
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なぜ低単価の案件が、この集客の段階で決まってしまうのか。失敗の側から見た構造はこちらです。
そもそも、なぜ「誰に売るか」が単価を決めるのか。その全体像はこちらへ。
集めた相手に、制作だけでなく集客・販売まで提供して単価を上げる方法はこちらです。
AI時代のWeb制作・単価設計の全体像は、こちらのガイドにまとめています。